

お菓子は、お買い上げくださったお客様やご家族が食べて「美味しい」という以外に、贈り物の品としての意味合いも強いですよね。お菓子をお贈りする段階で、人と人としての関係性はできているもの。そこからさらに相手との関係性を強めたい、もっと仲良くなりたいという気持ちの表れなんです。
その大切な役割となるお菓子が「あまり美味しくない」では、つくり手としてお客様に申し訳が立たないじゃないですか。「こんなに美味しいお菓子を贈ってくれてありがとう」と感じていただける商品をつくる使命が我々にはあるんです。「東京の有名店にも負けないクォリティ、他所では味わえないオリジナリティの高いものをつくろう」の想いを持って、私たちはいつもお菓子づくりに取り組んでいます。
おかげさまでご好評の声をたくさんいただいています。本当にありがたい。お客様から「茨城にもこんなに美味しいお菓子があるんだ、と贈り先から言ってもらえたよ」とご報告を受けた時は、やはりつくり手冥利に尽きますよね。ウチのお菓子がちゃんと仲立ちの役割を果たせたということですから。
ここ日立は、各地から移り住んでこられた方も多く、いろいろな味を知っているため、舌の越えた人の頻度が高いんです。まずその方々にご納得・ご満足いただいたうえで、盆や正月の帰省時などにお土産の品としてご活用してもらえることが、まず嬉しい。ご兄弟やご親類が持ち寄った各々の品を比較して、その中でも菓匠たけだのお菓子が「とりわけ美味しかった」と言ってもらえたら、私たちにとっての大きな励みにもなるんです。
菓匠たけだは、父親が40数年前に創業した店なんです。ですので小さいころから両親の働く背中を見て育ちましたし、小学生の時分には店の手伝いも当たり前のようにしてきました。菓子づくりを生業にすることに対し「こうあるべきだ」という考えは自然に身につけられたんだと思います。
仲立ちへの意識もそうですが、そもそもつくる側の義務として「美味しいお菓子以外はつくってはいけない」だろうと。その大前提を踏まえ、お客様である地域の方々に必要とされるサービスを提供していきたいと思ったんです。和菓子、洋菓子。「ここに来れば欲しいお菓子が何でも揃う」と感じてもらえるお店にしようと決意し、出店したのが日立市田尻地区の店舗なんですね。品揃えの豊富さもそうですし、急なご注文でも誠心誠意対応するなど、本当の意味でお客様の目線に沿って活動することが、これからも決して変わらない確固たるウチの経営方針です。
私が培ってきたやり方が全員にとってのベストだとは決して考えていません。それぞれが学んできた工夫の仕方ややりやすい方法があるでしょうから、あまり具体的に細かい指導まではしないようにしているんです。ただ、段取りとして明らかに間違えている時や、周囲の状況が見えてないと感じた時には、声をかけるようにしています。 要は作業する上で、できるだけ広い視野を持ち、頭の中のタイマーを何個も持てるように意識しなさい、ということですね。そうでないと、自分の持ち場だけに集中するあまり、他のスタッフと連動した体制がとれなくなり、お店としての効率、引いては品質維持にも影響が出てしまいます。準備からかたづけまでの一連の流れを把握して作業することは本当に大切なんです。品物ができあがった時には道具や食材がなく整然としているのが理想的。全ての流れを把握し、全員への目配りを絶やさないようにするのは大変だけれど、いずれ独立することなどを視野に入れた時にも、また、仕事と関係ない日常の場面でも、必ず役に立つはずだと思うんですよね。
全ての方に対して、自分の家にお迎えするお客様だと思って接客しましょうということです。店内が雑然としていたり、気にかけられずに放っておかれたら、お客様は嫌な気持ちになるだろうし、自宅へのお客様に普通そういうことはしないはず。常に一期一会の心構えで、サービスの質を落とさずお客様に接してください、と。あまりにも忙しい混雑していた他ため充分なサービスができなかったと言い訳しても、それはお客様にとって何の関係もなく、ただ不快な気持ちになるだけのことですよね。
それと肝心なのは、人としての心配りを絶やさぬこと。荷物が多い方がいたら、車まで商品を運ぶお手伝いをする。雨が降っていたら傘をさしてお客様が濡れないようにする。実に当たり前のことですよね。幸い、当店の販売スタッフは自然とこういう振る舞いを身につけてくれているので、最近ではほとんど言わずに済んでいますが。
身内びいきを抜きにして、つくり手側・接客側の垣根なく、全員が良い人間関係を築けていますから、普通は言いづらいようなことも指摘するなど叱咤激励しあえる環境ですね。職人の世界によくあるようなギチギチの縦社会でもありませんし(笑)。そういうのは私自身が好きじゃないんです。良好な雰囲気の中、各々がプロの自覚を持って、活き活きと働けるのが一番だと思ってますから。社長の立場として最も嬉しいのは、働いてくれるみんなが仕事も含め、成長し、より充実した人生を送っていることなんです。
仲間達との和を大切にしながら、目の届く範囲の中で、良いものをつくり続けていきたいですね。その想いを持続させることで、売り上げは結果として後からついてくるものだとも思いますし。菓匠たけだの当面の目標としては、2年から3年後には日立市内に3店舗を出したいという展望はあります。現在、市の中央部、南部には店があり、また定着もしてきましたが、北部からは両店とも距離があって、ありがたいことに「こっち(北部)にもお店を出してほしい」のお声を多くいただいているんです。
![]()